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神田 かんだ やぶそば

有限会社 藪蕎麦  堀田 健二


130年を超える歴史、江戸蕎麦の伝統を今に伝える

創業明治13年、江戸そば御三家の代表格である「やぶそば」で130年余りの歴史をもつ最古の老舗。その伝統を感じさせる佇まい、四季折々の眺めが楽しめる庭、そして、多くのそば通を魅了し続けてきた風味「かんだやぶそば」さんにお伺いし、お兄さんの第四代目当主、康彦さんと共にお店の経営に携わっておられる堀田健二さんに、粋なお話を聞かせて頂きました。


一年のなかで最もお忙しい時に時間をさいて頂き、ありがとうございます。この一角もお店も歴史を感じさせる佇まいですね

このあたりは、昔の甲武鉄道(現JR中央線)万世橋駅と、その乗換えの市電須田町の両ターミナルが近く繁華な場所で、旅館、飲食店が多かった。関東大震災後再建したものですが、昭和の戦火を免れ、東京都の歴史的建造物に指定されました。この建物は震災の後、神田界隈でいち早く建て直したものです。昔からのお客様からは「神田の街はずいぶん変わったがここだけは昔と変わらない」と言って下さいます。

明治13年創業、130年を越える歴史を誇るかんだやぶそばの暖簾を受け継ぎ、発展させることは大変なご苦労があると思いますが

時代の変化と共に変わっていくことが大事というのが先代からの考え方です。これからどう変えていくか、また変えないのかを見極めることが必要だと思っています。ただ味を変えないというのは難しいことではないでしょう。時代に合わせてどう変化させて次の代までつないでいくのかを考えていくことが大切だと思います。

かんだやぶそばと言えば、知らない人がないくらい有名ですが、お客様はどのような方々ですか。

この辺りは大学が多く、学生時代に教授に初めて連れられて、その後、年を重ねて30年ぶりにいらっしゃったというお客様もおられます。今では東京の下町観光のコースになっていて、観光客の方もたくさんご来店頂いております。店内の帳場も昔のまま残してあります。また、小上がりの席もめずらしいのか、外国のお客様にも大変人気があります。

座敷もテーブル席もテーブルが少し低く感じますが何か理由があるのですか

蕎麦を手繰るのに丁度いい高さに作らせています。長い間についた蕎麦屋の知恵かと思います。

やぶそばのおそばは少し緑がかっていますね

それはそばを美味しそうに見せるために初代が工夫をしたものです。昔は冷蔵庫など温度管理できる貯蔵技術が無かったため、いいそば粉を使っていても、収穫から時間がたってくると黒っぽくなり、見た目が悪くなってしまうのです。そこで食欲を増進してもらおうと、そばの実を甘皮から挽いた色で見た目のさわやかさを出したのが始まりです。

当時としては画期的な工夫だったでしょうね。

そうですね。来ていただいたお客様にすこしでも喜んでもらうために工夫を凝らす、そして新しいことに臆さず挑戦する考え方の持ち主だったのでしょう。 せいろうの器にも工夫があるのですよ。蕎麦の下に敷いてある簀ですが、真ん中が少し高い作りになっているのに気づきましたか。茹でたての蕎麦を盛った時、どうしても下に水が溜まってしまうため、それが流れるよう湾曲させたものです。水気でつゆが薄まらないよう考えたのです。 その他にも、蕎麦を箸で手繰ったときするするっと取れるよう、うちでは職人が冷水でしめた蕎麦をせいろうの器に盛った後、箸でならしています。ここまでする蕎麦屋は少ないと思いますよ。蕎麦がダマになってくっ付いてきたらがっかりするでしょう(笑)

今のやぶそばのかたちは今日まで受け継できた人たちの知恵と工夫の集大成なのですね。

つゆは切れのある辛口ですね、昔から変わらない味ですか

基本的には製法は昔と変わりません。でも、時代の変化や季節によって原料の質も変わってきますし、お客様の味覚も昔とは違いますからね。だから、つゆの味もお客様のニーズに合わせてバランスをとって少しずつ変えてきています。辛口のつゆは江戸蕎麦の特徴ですかね。江戸っ子は蕎麦を食べる時、先に口に入ってくる蕎麦で蕎麦粉の香りを楽しんで、後から蕎麦の先についたつゆと一緒に蕎麦の味を楽しむと言われています。自然とつゆは少量でも味を感じるよう辛口になったのでしょうね。 我々は先代の頃からずっと毎日開店の前に店主と職人で必ず1食分の蕎麦とつゆの味をみて最後の調整を確認しています。変える変えないではなく、手落ちがないよう心がけています。 今ではそばは食事として位置付けられているようですが、昔は食事としてではなく、ちょっと小腹がすいた時に間食として食べられていたものです。蕎麦も寿司も今でいうファストフードだったんですね(笑)。昔、江戸の町には数え切れないほどのそばの屋台があって、蕎麦は粋な食べものの一つだったのでしょう。


粋といえば、粋にお蕎麦を頂くには?

とくに作法やかたちにこだわる必要はないですよ。ただ蕎麦の香りをもっとも感じる食べ方を追及すると、ズズズッと音をたてて空気と一緒にすすり込む食べ方になると思います。どこかで聞いた話ですがこれは科学的にも証明されているそうです。すするという行為は香りを感じるのにとても効果的で、口腔内から鼻にかけて広がり「美味しい」と脳が認識するようです。

やぶそばの名物のひとつ天たねはとても特徴がありますね。

天たねはもともと天ぷらそばに入れる具だったものです。たまたまお酒を呑まれるお客様が天たねを肴にして召し上がって、その後、徐々にそばと別に単品で食べたいというご要望が増えたので、それに応えて芝えびを使用して今のかたちになりました。「板わさ」も、もともと昔はおかめそばに具として入れていたものが酒のあてとして定着したのです。天ぷらそば用に作るたねはもっと薄くパリッとしていてつゆに入れて頂いたら丁度良いように作られていましたが、単品で頂くには物足りなかったのでしょう。だんだん厚みがましてフワッとした食感のいまの揚げ方に変化していったのです。あの厚みある天たねを上手に揚げられるようになるにはとても時間がかかるのですよ。中が生という訳にはいかないですから ( 笑 ) 。うちの職人は最初に洗い場を経験し、具材をのせる中台、切り場、釜あげ、製麺と修行を積み、最後のほうに天たねを担当します。習得するのが難しいと言うことです。

今回、天たねのレシピを取材させていただいた宮腰さんも長くいらっしゃる職人さんですか。

そうですね、もう 20 年以上になりますね。

    

やぶそば 天たね
材料

小麦粉

 

180g

冷水

 

450cc

中玉

1個

芝海老

頭、わた、尾は取り除く

40g

ゆず

ひし形にカット

1片

三つ葉

ゆがいておく

2本

※各材料と使用する調理器具(ボールetc)はあらかじめよく冷蔵庫で冷やしておいてください。粉はふるわなくても大丈夫です。

※かんだ やぶそばでは揚げ油に濃口のごま油を使用していますが、ご家庭ではサラダ油などお好みの油をご使用下さい。

作り方
今回、厨房で天たねの作り方をご指導下さいました宮腰さん。熟練の技を惜しみなく教えて下さいました。
【1】冷やしておいた衣の材料を手早く混ぜ合わせます。(使う材料も用具も全部よく冷やしておくのがカラッと揚げるこつです)
【2】芝えびは腹を内側に交互に重ね丸くなるように形を整えます。
【3】お玉の上に芝えびをのせゆっくり衣に浸けます。
【4】油の温度(180℃)を確認します。適温の目安は菜箸につけた衣を油に放つと瞬時にパァッと全体に広がります。

【5】お玉をゆっくり油に入れ滑らせるように落とします。パッと衣が剥がれ広がります。

【6】広がった衣を素早く天たねの上に乗せるように軽くおさえつけます【5】と【6】の作業は一瞬で行うことがコツです。

【7】揚げる時間は約5分〜6分。持ち上げた時油がサッと下に引くようになればそろそろです。

【8】揚がったらバットに並べます。

【9】あらかじめ用意しておいた三つ葉とゆずを飾ります。めんつゆか塩でお召し上がりください。

最後に、今年は東日本大震災に明け暮れました。お店への影響は如何でしたでしょうか。

うちも4カ月ぐらいは、お客さんが遠のきました。このままではいけないと各方面で消費が回復するよう活動をしました。

本日は、本来、企業秘密であることもお話し頂き、業界の方々にもヒントになることがあったのではないかと思います。改めて何代にもわたりそばの世界をリードしてこられた老舗の風格を感じたひと時でした。長時間ありがとうございました。


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