s.l.o (カフェ&ダイニング 『スロー』)

槻山 裕輔 シェフ

ポリシーは「常に考えながら料理を作る」

老舗のお店が所狭しと立ち並ぶ神楽坂。「s.l.o」はそんな江戸情緒あふれる坂のまちにあるレストラン。
カリフォルニアワインの美味しさを発信し続ける「麻布十番CWG」の姉妹店でもある同店では、世界各国のワインと共に、旬の素材を活かした豪快かつ繊細な創作料理がわえる。
シェフを務めるのは、フレンチ業界出身の槻山シェフ。国内の著名なレストランで修行をした後、s.l.oのシェフとして迎えられた。質の良い素材を選び、本当に美味しいと思える料理を創り出す腕前は確かなもの。「s.l.o」ではどの料理からも、ひと皿に込められたシェフの思いが伝わってくる。


素材の美味しさに出会うレストラン

「s.l.o」の料理は、一口食べただけで素材の美味しさがはっきりとわかる。
「僕は料理の味を決めるのは素材だと思っています。特にうちのお店でこだわっているのは野菜と魚介類です。やはり作り手の思いが伝わる有機野菜や捕れたての魚介類は、美味しさが違います。僕の仕事は、これら本物の食材の味をこわさず、料理としてどう表現するか。そしてどうやってワインに合う料理に仕上げるかなんです」
ワインと旬の料理を味わえることができるレストラン 「s.l.o」 入口にはニューワールド・ワインがずらりと並ぶ。
「うちに来店されるお客様は、料理もさることながらワインやレストランの雰囲気を楽しみにいらっしゃる方も多いんです。レストランとしての空間をトータル的にどのように提供できるかが、お客様の満足度につながっていると思います。ワイン、料理、サービスの全てが調和するからこそ、一味違うレストランを演出できるんです」


ゆったりとしたテーブル席


豊富なワインぞろえ


癒しの空間 窓際の席

料理人としての人生

野菜の美味しさやワインの楽しさに出会える「s.l.o」その厨房で腕を振るうのが槻山シェフ。シェフが料理人を志したのは幼少の頃からだった。
「僕が料理を仕事にしたいなって思ったのは、小学生の頃でした。もともと何かを作って人に喜んでもらうことが大好きで、よく休日にキッチンに入って料理してましたね。料理を作って「美味しいね!ありがとう」って言われるのってやっぱり嬉しいですよね。将来は料理に携る仕事がしたいという思いが、どんどん膨らんでいきました」
その後料理の専門学校を卒業し、現場へと足を踏み入れた槻山さん。日々の仕事が自分の成長につながっていったという。
「厨房での仕事は、待っていても次のステップの仕事はまわってきません。その仕事ができるということをアピールすることも大切です。僕の場合、明日できることは明日にまわし、先輩の仕事を手伝ったりしながら自分で技術を身につけていきましたね。できれば仕事へとつながりますし、新しい仕事をすることが自分の成長にもつながってゆきます。この仕事の場合、毎日の積み重ねがいつしか線となっていくんです」


シェフのこだわり

槻山シェフの創る料理の元となっているのが新鮮な野菜、魚介類、肉類などの選び抜かれた旬の食材。シェフがそれらの食材(野菜)と出合ったのは、仕入を担当したことがきっかけであった。
「僕が野菜の美味しさに出会ったのは、ある八百屋さんとの付き合いが始まりでした。そこで食べた野菜の美味しさが今も忘れられないですね。本物の美味しさに出合った瞬間でした。今は農家さんから直接送ってもらっていますが、やはり大切に育てられた野菜の美味しさは違います」
そんな選び抜かれた素材から創り出される料理は、美味しいの一言に尽きるものばかり。そこにはシェフの料理人としてのこだわりがある。
「僕が人よりこだわっているのは、細かい部分への気の使い方かもしれませんね。料理は仕込みの段階から一つ一つに意味があります。野菜の切り方、火の通し方など、その素材をどういう風に食べてもらいたいかを常に考えながら料理しています。スタッフにも、何故その調理方法を選ぶのかを考えながら料理するように言っています。やはり、考えた作られた料理には『何かが違う』美味しさが秘められています。お客様にも料理を通して、作り手の思いが入った素材の美味しさをお伝えできればと思っています」


 
夏野菜とアナゴのテリーヌ
バルサミコソース 実山椒の香り
材料(テリーヌ型1本分)

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黄パプリカ

8個

 

緑ズッキーニ

2本

 

黄ズッキーニ

2本

 

長ナス

4本

 

トマト(セミドライ)

200g

 

アナゴ

300g×4匹

 

アガー

20g

 

実山椒

適量

 

バルサミコソース

適量

   

オリーブ油

適量

   

グロッセル(塩)

適量

   

セミドライトマト   トマトの水分をとばしたもの
バルサミコソース  バルサミコを煮詰めたもの

 作り方

1.黄パプリカは蓋付きの鍋に入れ、260℃に温めたオーブンに45分入れる。粗熱がとれたら皮をむく。
2.ズッキーニ、ナスはたて半分に切り、フライパンで焼いてオーブンに入れる。(ナスは10分、ズッキーニは20分加熱する)
3.セミドライトマトにアガーを入れ、ミキサーでまわす。
4.アナゴは蒸してから皮目に山椒とオリーブオイルをふり、サラマンドルで焼き色をつける。
5.全ての材料を順々に重ねてテリーヌ型に詰める。
6.40分〜50分、230℃に温めたオーブンに入れる。
7.重しをのせて一晩、冷蔵庫で休ませる。
8.適量を切り、お皿にのせ、バルサミコソース、オリーブオイルをかける。テリーヌに山椒をくだいたもの、グロッセルをのせる。


一言こぼれ話

農家から直送してもらう新鮮な野菜。 どの野菜を見ても、活き活きとしていて大地の恵みを感じます。僕はこれらの野菜を料理というカタチで表現することで、 まじめに野菜を作っている作り手の思いを少しでも伝える事ができたらと思っています。広い捉え方になってしまうかもしれませんが、第一産業を支える歯車のひとつになれたらいいなあと思うんです。