洋食の美松

平野 幹弥 料理長

ポリシーは「伝統の味を守ること」

文明開化から昭和時代にかけ西洋料理を日本に広めてきたのは、いったい誰なのか?そのひとりとして、戦前の日本を代表するシェフ渡辺謙吉氏が挙げられる。その後、その姿勢を実践してきた料理人が海老沼幸七氏、平野勇吉氏だ。平野氏は横浜ホテルニューグランドなど数々の料理長を経て、元町に「洋食の美松」を開業。平成の今、厨房で腕を振るうのはご子息の幹弥氏。1度美松の洋食を食べれば、皆リピーターになるほど絶賛の味だ。


店の中に入るとオープンキッチンから「いらっしゃいませ」の大きな声が聞こえてきます。実にあたたかく印象的ですね。

いらっしゃいませ、ありがとうございました、とお客様に感謝の気持ちを伝えていたら自然と声が大きくなってしまいました(笑)。私は、「出会いと心」を大切にしています。
父は西洋料理の草分け的存在海老沼氏の一番弟子でした。父はよく「師匠(海老沼氏)に感謝する気持ちを忘れてはいけない」と口癖のように言っていました。だから自然と人を大切にする精神が私に伝わったのだと思います。今でも父にはかないません。父はもう他界してしまいましたが、毎日コックコートを着た若い頃の父の写真を見て「親に負けないようがんばろう」と思います。私は、海老沼氏と父を尊敬しています。そして、美松の味を求めていらしてくれるお客様にとても感謝をしています。


  平野 桂子ママ

そのお気持ちは、美松ならではのすばらしい自然なコクと香り、そして味全体に漂っていると思いますが。

ありがとうございます。手を抜かずに昔ながらの洋食を父から引継ぎやっています。父は港町横浜の洋食を広めた草分け的存在です。だからその名に恥じないよう、ソースもマヨネーズもひとつひとつ丁寧に作っております。朝から晩まで睡眠を惜しむほど下準備に一生懸命です。
例えばデミグラスソースは、「厳選した小麦粉にブイヨンスープを合わせて、固めのブラウンソースを作り、一番寝かせて味に深みを出す。翌日野菜を加えて柔らかくのばし、最後に肉といっしょに煮こむ」という具合です。でも、お客様から「石川町にこの味を失くしてほしくない、この味は美松しかない」とおっしゃっていただけるととても嬉しくこの手間も苦にはなりません。
よく美松の洋食を召しあがっていただいたお客様から「衝撃が走った」というお言葉をいただきます。この言葉は、やはりひとつひとつ厳選した自然の食材で丁寧に作り上げた証拠だと思います。悲しいことに、今、レストランでも加工のものを使っているところが多く、ブイヨンなどを丁寧にガラから作り上げているところが少なくなっているようですね。だから、私は本物にこだわり洋食を作り続けているのです。

なるほど。お客様が皆、美松の虜になって帰られて行く訳がわかったような気がします。
それでは、最後にこれからの洋食の美松をお聞かせ下さい。

いつまでも長く皆様に愛される美松でいたいですね。私達は生涯現役だと思っています。お客様と一緒に年齢を重ねていくつもりです。これからもファンが途絶えることがないよう、洋食の伝統の味を守りながら、がんばります。



ポテトサラダ

秘伝のレシピを今回特別に、ご家庭向けに
アレンジしていただきました。

クリックして拡大画像をご覧下さい

材料(4人分)

じゃがいも

4個

玉ねぎ(薄くスライス)

1/2個

グリーンピース

大さじ2

1個

マスタード

適宜

マヨネーズ※

適宜

塩・胡椒

少々

作り方

1.じゃがいの皮をむき、ひと口大にカットしボイルする。
2.冷めたら玉ねぎ・グリーンピース・卵・塩・胡椒・マスタード・塩を入れ、木べラで混ぜてできあがり。
  ※美松では、マヨネーズは、手作りマヨネーズを使用しております。