五十嵐料理長は、1974年生まれの28才。この若さで中華料理ひとすじ20年。まさにその経歴には脱帽する。 「小学生から社長(父)の経営する広味坊(現在:千歳烏山店)のチラシ配りと洗いもの、中学でホールとまかない料理、高校でホールと板場を手伝いました。家族で経営してたので、仕事をやらないと生活ができないという状態。父は学校より仕事という感じでした(笑)。」 高校卒業後、広味坊の休日を利用し、竹爐山房山本豊総料理長のもとで2年間修行をする。「山本総料理長には、料理の姿勢を教えていただきました。修行の場は、自分の足りない人間性を作る場所でもある。この時私の人生が変わったのです。」 当時、五十嵐料理長には休む暇が全くなかった。しかし、その頃は、夢と希望にみちあふれ無我夢中だったという。「22才のときに父から広味坊の料理長を受け継ぎました。この時のスタッフは、私がいちから育てるようにという父の考えもあり、右も左もわからない全員新人。私は、料理長でもあり店を経営する立場でもある。だから、寝る時間を裂いてでも人一倍働くしかなかった。私にはスタッフの人生がかかっていると思ってとにかく頑張りました.。」プレッシャーと緊張感で眠れない日々が続き、とうとう五十嵐料理長に身体の限界が訪れる。
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