蜂の子

平澤 利光 料理長

ポリシーは「伝統を大切に」

昭和初期古きよき時代を想い出す小粋な一軒家レストラン「蜂の子」。戦後まもなく、ご両親がはじめられた店を今なお大切に守り続けるのは、息子さんの平澤料理長。店の味でもあるデミグラスソースは、実に奥深くまろやか。心あたたまる洋食の数々をいただける一軒だ。


蜂の子は、とても家庭的な雰囲気がしますね!!

ありがとうございます。戦後まもなく両親がこの店を建ててから、もう50年近くになります。そのときから変わらないことは、このホッとするあたたかい雰囲気なんです。おやじは、僕が5歳の時に他界しました。それから、おやじの友人である川俣シェフを招き、おふくろひとりでこの店を切り盛りしてきました。おふくろは今でも現役です。だから、僕も店に対する熱意が人一倍とても強いと思います。

それでは、小さい頃からシェフになろうと決められていたのですか?

そうですね。おやじは、どうやらフランスに行きたかったらしく、フランス語を勉強していたみたいです。そういうおやじの背中を見て僕は育ちました。だから、物心ついた小学生の卒業文集にはオムライスの作り方を書いたほどです(笑)。高校卒業後フランス料理店で修行をしようと決めたのにも、なんの抵抗もありませんでしたね。

フランス料理の世界から蜂の子へ戻られ、十数年が経たれるとのことですが、実際お父様と同じ厨房で腕を振るわれていかがですか?

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今までは“料理を作ることに妥協したくない”という料理人としての気持ちが強かったですね。蜂の子では僕が料理長ですから、経営面も考えなくてはなりません。そして誰かに甘えることもできません。料理長になって“一流のレストランにするにはどうしたらよいか”という意識とこれからの方向性を強く考えるようになりましたね。
僕は、洋食にはよいものがあると思います。今でも小さい頃に食べたオムライスやナポリタンを時々食べたくなります。ナポリタンは、イタリアパスタのアルデンテと違い、麺は太くやわらかいもの。でも食べると懐かしく心が温まります。僕には、そういう昔ながらの洋食が必要なんです。そして、同時に、時代の変化にあわせた新しいものを取り入れていく姿勢も必要だと感じています。僕が学んできたフランス料理にも素晴らしい料理がたくさんあります。ここ蜂の子で、伝統の味を守った洋食とフランス料理のよいところをミックスさせた料理をひとつひとつ丁寧にお客様におだしできればと考えています。

洋食にはめずらしいダチョウのミラノ風カツレツなどがメニューブックにあるのも平澤様のポリシーのあらわれからなのですね。最後に、これからの蜂の子をお聞かせ下さい。

これからも、蜂の子ならではの味とアットホームさを大切にしていきたいですね。そして、常連のお客様はもちろんのこと、新しいお客様にもぜひいらしていただいて、お客様に気持ちよく帰っていただきたいと思います。



ハヤシライス

今回特別に、お店のハヤシライスをご家庭向けにアレンジしていただきました。

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材料(1人分)

牛ヒレ肉(一口大にカット)

60g

玉ねぎ(1cm幅にカット)

1/4個

マッシュルーム(薄くスライス)

2ケ

トマトケチャップ

大さじ2

デミグラスソース(市販品)

200cc

赤ワイン(甘口)

100cc

バター

適宜

塩・胡椒

少々


作り方

1.フライパンにバターを入れ、牛ヒレ肉・玉ねぎ・マッシュルームをソテーする。
2.赤ワインを入れフランべする。(写真上部右参照)
3.トマトケチャップ・デミグラスソースを加え、少し煮詰め、塩・胡椒で味を整える。
<ポイント>長く煮こまず、玉ねぎのシャキシャキ感を少し残すのがポイントです。