今までは“料理を作ることに妥協したくない”という料理人としての気持ちが強かったですね。蜂の子では僕が料理長ですから、経営面も考えなくてはなりません。そして誰かに甘えることもできません。料理長になって“一流のレストランにするにはどうしたらよいか”という意識とこれからの方向性を強く考えるようになりましたね。
僕は、洋食にはよいものがあると思います。今でも小さい頃に食べたオムライスやナポリタンを時々食べたくなります。ナポリタンは、イタリアパスタのアルデンテと違い、麺は太くやわらかいもの。でも食べると懐かしく心が温まります。僕には、そういう昔ながらの洋食が必要なんです。そして、同時に、時代の変化にあわせた新しいものを取り入れていく姿勢も必要だと感じています。僕が学んできたフランス料理にも素晴らしい料理がたくさんあります。ここ蜂の子で、伝統の味を守った洋食とフランス料理のよいところをミックスさせた料理をひとつひとつ丁寧にお客様におだしできればと考えています。
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