El Borracho エル ボラーチョ

志野 朋之 料理長

ポリシーは「人との出会いを大切にする」

「こんなところにメキシカンレストランが?」 エル ボラーチョは、知る人ぞ知る隠れた六本木にある名店。店内に一歩入るとそこはまさに小さなメキシコ。 「Hola! ( オーラ:こんにちは)」と陽気なスペイン語が流れてきそうな、異国情緒に溢れるメキシカンレストランだ。

料理長を務めるのは、この道20年の志野シェフ。メキシコに何度も足を運び、現地の味を再現できる本物の料理人。シェフが創り出す数々のメキシコ料理にファンも多い。
気さくな人柄が魅力的な志野さん。本日はとっておきのレシピと共に料理への思いを語ってくれた。


美味しい料理が道しるべ

シェフが料理の道を志したのは、中学卒業と同時だったとか。
「私をこの道へと導いたものは、初めて食べたお寿司でした。『こんなに美味しいものがあるのか!』と子供心に感動しましたね。そこで、進学せずにそのまま寿司業界に入ったんです。その後、料理の幅を広げようと洋食の世界に足を踏み入れているときに、メキシコの代表料理「タコス」を食べるチャンスがあったんですね。当時はまだ「タコス」という名前が一般的でなかった時代。初めて寿司を食べた時と同じ感動がよみがえってきましたよ。『これは旨い!この料理を追及してみたい』と。そこからメキシコ料理一筋でやってきました」
美味しさの感動が道しるべとなった志野シェフ。 そんなシェフの探究心が美味しい料理を生み出す原動力になっているのである。

シェフのこだわり

志野シェフにはこだわりがある。それが「本物の味を表現してゆきたい」ということ。
「やはり料理人としての私の役割は、本物の味を伝える事だと思うんです。食べて美味しいは当たり前。メキシコ料理店と看板を出している以上、きちんとした料理を提供したいですね」
現地に足を運んで、肌でメキシコの味を感じたシェフならではの思いである。
「実際に行ってみると本当に勉強になります。私の場合レストランでの料理の他、家庭料理を食べる機会もあり、メキシコの郷土料理をかなり学ぶことができました」
シェフオリジナルのメキシコの味。それは現地の家庭料理が原点なのかもしれない。

シェフオリジナル料理の紹介

本日は家庭でも作りやすい、ピリッと辛い魚介のマリネを紹介していただいた。ライムのさわやかな香りにハラペーニョ独特のアクセントが加わった「セビッチェ デ マリスコス(魚介のライム和え)」 メキシコビールがよく合う家庭料理だ。手軽に作れる一品だが、「おっと、これはいける!」と一口二口ついつい食が進む。
志野さんが思うメキシコ料理の魅力は、「辛味の中の旨さ」。本日の料理も、ピリッとした辛さの中に不思議な美味しさが広がる。「セビッチェ デ マリスコス」は、家庭にある材料で作れ、ちょっとしたおもてなしにも最適な一皿。
「お客様が『あの一品が食べてみたい』と思って来店してくださるような料理を創ってゆきたい」
というシェフ。その夢も遠い話ではなさそうだ。



セビッチェ デ マリスコス

セビッチェ デ マリコス

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材料(2人分)
 

イカ

1/4ハイ

 

ライム汁

1個分

 

エビ

4匹

 

ハラペーニョ

1/4個

 

ムール貝

4個

 

紫玉ねぎ

1/10個

 

帆立貝(刺身用)

2個

 

玉ねぎ

20g

 

鯛(刺身用)

40g

 

コリアンダー

2g

       

セロリ

1/8本

 

ロメインレタス

適宜

 

塩・胡椒

適量

 

ライム(飾り)

適宜

 

EXオリーブ油

適量

作り方

1.魚介類は刺身用以外をボイルし、食べやすい大きさに切る。
2.ハラペーニョ、玉ねぎ、コリアンダーはみじん切り、紫玉ねぎ、セロリはスライスする。
3.(2)に塩・胡椒・ライム汁を加えてよく混ぜ合わせ、(1)を加え、冷蔵庫で味がなじむまで置く。(15分以上)
4.器にロメインレタスをひき、(3)を盛りつけ、ライムを飾る。お好みでEXオリーブ油をかけていただく。


シェフの一言こぼれ話

本日の料理のポイントは、新鮮な魚介類を使用することと塩加減。なかなか難しい塩加減だが、覚えるコツは「指先で感覚をつかむこと」だそう。「ひとつまみでこれぐらいの味か〜とやっていくうちに、感覚でわかるようになりますよ」 そしてメキシコ料理の味の決め手は、なんと言ってもハラペーニョ。「これがないとメキシコ料理は語れませんね。自分の店でも、料理によって4〜5種類ぐらいを使い分けています」